心臓根治手術に成功したものの、気管支狭窄を合併している事がわかり気管支狭窄の手術も行いました。
手術は成功したものの、なかなか人工呼吸器が抜けず、一時は主治医から「もう手が無い」と言われました。
しかし、先生方の懸命な治療と息子の頑張りでICU40日目に病棟に戻る事ができました。
そこから退院できるまでの約2ヶ月の記録をまとめています。
目次
ICUを出てしばらくの間笑顔が消えてしまった
心臓の手術の日から数えて40日間もICUから出られませんでした。病棟へ移ってからは、体は回復してきているのに、心は許してくれない様子です。いつも両手を力いっぱいにぎゅーっと握って怯えていました。
抱っこしても握りしめた手をほどいてくれません。こちらが手を握ろうとしてもぎゅーっと固めた手をほどいてくれません。
手術前は笑顔いっぱいだった息子が、まったく笑わなくなって、コミュニケーションがとれない感じになってしまいました。親としてとてもせつない思いでした。
でも3日目の夕方頃から少しずつ泣く時間が短くなって、私達の顔をじーっと見るようになり、ようやく笑顔を見せてくれるようになりました。
1日1日少しずつ心を許してくれているようでした。昨日よりも今日とさらにいっぱい笑ってくれるようになって、先生にも笑顔を見せてくれました。
生後8か月での手術。その前までは一時退院で家にいて、いっぱい甘えていたのに、突然痛い事をされて、親に会えなくなって、息もできなくなって・・・不安で仕方がなかったんだと思います。
生後すぐの時の手術とはまた違った悩みを感じました。でも、ようやく笑顔を見せてくれるようになって良かった。
[2007年12月6日]病棟に戻ってからのミルクについて
心臓手術後からずっとミルクは注入のみです。
・病棟に戻って最初は1回70㏄×8回=560㏄
・退院時までに1日量が600㏄になるように先生の指示で量を増やしていく
病棟に戻って1週間目に口からポカリスエットを飲む事にチャレンジしました。吸い付きはいいものの、すぐにむせてしまうのでその後は飲む気が無くなってしまいます。スポイトでほんの少しずつ口に入れて、最初の日は8㏄だけ飲めました。
疲れて口から飲むのが嫌になってしまうのも困るので、1日1回飲める分だけという感じで続けて2週間経った頃には10㏄をあっという間に飲めるようになりました。
・1日目:むせながら1回20㏄飲む
・2日目:1回40㏄飲めるようになる
・3日目:1回60㏄飲めるようになる
(毎回口から飲ませて残った分は注入)
離乳食開始
もうすぐ1歳。ミルクよりもとろみがついた離乳食のほうがむせないかもしれないということで、病院で離乳食を開始しました。
ミルクのほうが味は好き。でも、離乳食のほうがむせない。
そんなせめぎあいで、どちらも順調に進んだというわけではありませんでしたが、ミルクと離乳食を平行して行いました。
病院で離乳食を出してもらえるなんてありがたいですね。
手術痕から膿が出てしまった
病棟に戻って約2週間。順調に回復していました。退院前にもう一度カテーテル検査をして問題が無ければ退院という予定でした。
ただ、カテーテルの予定が埋まっているので、空き次第入れるという感じ。間もなく年末年始だけどいつになるのかまったくわからない状況でした。
すると、今日突然先生に言われました。
明後日カテーテルが空いたので、明後日検査をします。
結果が良ければ来週25日には退院ですね!
えー。
“退院は年明けになるでしょうね” って言われてたから、ウィークリーマンションも1月まで契約したのに。
気持ちの整理がつかないまま、あれよあれよとレントゲン検査をする事になりました。
検査の為に脱がせると 『あれ?昨日よりも腫れてる???』心臓手術の傷跡がぷっくり腫れているではありませんか。前日からちょっと赤くなっていた部分が、さらに腫れている感じ。
すぐに先生が来て処置室に連れて行かれました。
中に膿がたまっていたので、ちょっと切開しました。
感染症がないか確認できるまではカテーテル検査はできないから、やっぱり退院は来年ですね!
『来週退院』というのは、わずか数時間で泡と消えました。。。
最初から退院は年明けのつもりだったし、ウィークリーマンションの契約も無駄にならないから良かったのかな・・・。
とはいえ、傷から膿というのはちょっと気になるところです。心臓手術からはすでに2ヶ月近くが経過して、傷跡もしっかりくっついているように見えたので、今になって傷を切開することになるとは思いませんでした。
菌の培養結果が出るまでには数日かかるようです。熱は出ていないので、たいした事がないといいんだけど、結果が出るまで心配です。
[2007年12月19日]病院で過ごす産まれてはじめてのクリスマスとお正月
サンタの絵のバルーン風船をプレゼントしてもらう
クリスマス前に病院からバルーン風船をプレゼントされました。
おぉ~なんだこれ~
いい表情で風船にくぎづけです。とっても気に入った様子でした。
心臓手術をしてくれた角先生はよく病室に顔を見に来てくれます。こんなに頻繁に顔を見に来てくれるなんて思っていなかったので、本当に嬉しく思います。
いい目になってきたな~。元気になってきたね!目を見ればわかりますよ。大丈夫でしょう!
わぁ。前にテレビで見たまんまのセリフだ~!
手術後の長いICU生活を思うと感激!ここまで元気にしてもらって本当に感謝感謝の気持ちでいっぱいでした。
こども病院のクリスマス会
ロビーで行われるこども病院のクリスマス会。息子も体調が良いので参加させてもらいました。
親バカの私は息子に真っ赤な服を着せて、もみの木のついた靴下を履かせて、頭にトナカイの角をつけてクリスマス会に参加しました。
クリスマス会では先生や近所の方々が協力して歌や劇などで楽しませてくれたけど、息子はステージではなくサンタ服のお姉さんをジーっと見つめて相手をしてもらっていました。
こ、こいつ・・・
今から女好きなのか・・・?
クリスマス会が終わって病室に戻ると、サンタさん(→に扮した先生)がプレゼントを持ってきてくれました。
1人1人にプレゼントを配り歩いて、いざ息子の番。
サンタに抱っこされた途端に大泣きの息子。
それでも構わず写真やビデオを撮る親バカの私とパパ。。。
産まれてはじめてのクリスマスは病院でとっても楽しく過ごすことができました。
親は大満足!!息子は大迷惑のクリスマスイベントだったかな。
病院で迎えるお正月
息子が産まれてはじめての年越しは家族バラバラ。
(息子と私は病院。パパさんはウィークリーマンションです。。。)
2008年は病院の窓から雪を眺めてのお正月となりました。
今年はどんな1年になるかな?根治手術も成功してあとは退院を目指すのみです!
退院したらいっぱい「はじめて」の事をしたいなぁ。
もうすぐ1歳だけど、お宮参りにもまだ行けてないし、離乳食もまだ食べた事がないし、お散歩もしたことがないし・・・
普通の子なら当たり前にできそうだけど、息子には出来なかった事。
ひとつひとつ重ねていきたいなぁ。。。
[2008年1月1日]入院から3か月目。また手術が決まりました。
入院して3か月が経ちました。そして明日手術が決まりました。
手術と言っても菌の洗浄をする処置のようなものですが全身麻酔を使って手術室に入ります。
10月末。心臓手術をした直後に炎症反応が上がり、検査をしたところ「緑膿菌」が検出されました。その時は抗生剤の投与で炎症反応も下がり、少し膿んでいた傷口も治りました。
12月末。そろそろ退院という話が出た矢先に、傷口が蚊に刺されたように少し腫れてきました。腫れた部分の中は膿んでいて、そこからまた「緑膿菌」が検出されました。
10月末に発症してからずっと菌は消えずに潜んでいたということになります。
緑膿菌はなかなかしぶとい菌なんです。ともしびのようになかなか消えないんですよ・・・。
今まで傷口の洗浄と抗生剤の投与で様子を見てきましたが、あまり効果がないので
膿んでいる部分を切開して洗浄をしてくることになりました。
生後一週間目の手術の後はMRSA感染症で4ヶ月苦しめられました。そして今度は緑膿菌。まったく・・・なんでこんなに菌にやられちゃうのかしら。
感染症の手術(処置)も含めれば、息子が産まれてから1年の間に全身麻酔を使って手術室に入るのはこれで6回目になります。
ホントに小さい体でよく頑張ってるなぁ。なんとか今回の手術で菌がなくなってくれる事を祈るばかりです。
1歳の誕生日にカテーテル検査
緑膿菌の洗浄手術から10日ほど経って経過も順調。
あとは最後にカテーテル検査をしていよいよ退院が見えてくるかなぁといった感じ。カテーテル検査はすでに予約がいっぱいの状態でキャンセルが出ればそこに入れると言われていました。
24日にカテーテルの空きが出ました!
えー。1歳の誕生日ですけどぉ・・・。
病院で迎える初めての誕生日は、せめておめかしさせて、先生や看護師さんやお友達と一緒にたくさん写真を撮ろうと考えていたんだけどカテーテルじゃ無理だな・・・。
でも誕生日に退院前のカテーテル検査をするっていうのは、ある意味いいタイミングですね。
・身長:68㎝
・体重:6217g
・頭囲:32.5㎝
・胸囲:42㎝
・ミルク:1回に80㏄~140㏄飲めるようになる
・離乳食も開始(とろみのついた離乳食のほうがミルクよりもむせない)
入院118日目で退院しました
無事に退院して飛行機で東京に戻りました。
息子の心臓にはまだ問題点もあるので、4週間後にはまたカテーテル治療で入院することが決まりました。
この先一生この心臓と付き合っていかなければなりません。
病院とは離れられない生活を送らなければなりません。
でも息子の体と向き合いながらのんびり気長に子育てを楽しんでいこうと思います。
命を助けてくれた先生方ありがとう。
いつも笑顔で元気をくれた看護師さん達ありがとう。
同じ苦しみを抱えながら励ましあった病棟のママ達ありがとう。
小さな体で懸命に頑張って勇気をくれた戦友達(子供達)ありがとう。
ブログを通して励ましてくださったみなさんありがとう。
たくさんの『ありがとう』の気持ちでいっぱいです。
まとめ
心臓根治手術入院の『病棟に戻ってから退院までの2ヶ月』の記録をまとめました。約4ヵ月間の入院は病棟の中でもかなり長いほうでした。
我が家よりも後から入院してきた子がどんどん先に退院していきました。そんな時はちょっとだけ焦る気持ちもありました。
でも、逆に我が家よりも長い入院をしている子もいました。
入院中は本当に色々な事があります。辛い事の方が多いかもしれません。
でも『何人の人が息子の世話をしてくれただろう?何人の人が息子の名前を覚えてくれただろう?』そう考えると、なんだか嬉しい気持ちにもなります。
入院中は孤独ではありませんでした。同じ境遇の人がこんなに集まっている場所って他には無いと思います。
そう考えると、長い入院で得たものもたくさんあったんじゃないかなと思います。