総動脈幹症・大動脈弓離断症の心臓病で産まれた息子。
今まで治療してきた東京の大学病院ではベストな根治手術を受けられないとわかりセカンドオピニオンをしました。
そして東京から福岡の病院まで行って根治手術を受ける事になりました。
その時の記録を当時の日記をまじえてご紹介します
※入院は2007年10月の記録です。今の病院のシステムとは変わっている部分もあります。
目次
東京から福岡へ!家族揃っての入院生活開始
『福岡市立こども病院』で入院する事になった我が家。当時は東京に住んでいました。
パパさんは会社の「介護休暇」「育児休暇」という制度をフルに使って長期休暇を取る事ができたので家族揃って福岡へ移動する事にしました。
・手術の説明の際には夫婦揃っている方が望ましい
・入院期間は術前2週間。術後は回復が早くても最低で1ヶ月半はかかる。
入院の日・手術の説明の日・退院の日って何度か行く必要があると結局飛行機代がかかるよね。
それなら長期休暇を取って行きっぱなしのほうがいいね!
私1人じゃ不安だし、長期休暇が取れて良かった!
それならホテルかウィークリーマンションか滞在費が安いところを探そう!
入院初日~翌日
2007年10月10日。
入院初日の朝に東京の家を出発してから昨日までは本当に大変でした。
東京からの新幹線移動で病院に到着したのが午後5時
病院に到着すると慌しく本人の状態を診たり、病棟の説明を受けたりしてあっという間に消灯時間になりました。
次から次と看護師さんに指示されるので、私はトイレに行く暇もなく膀胱がおかしくなりそうでした。そして顔も洗えないまま夜へと突入しました。
パパさんはウィークリーマンションの鍵を取りに行ったりして病院の外でバタバタと動き回る1日でした。
ようやく落ち着いた消灯後に息子さんが騒ぎ出す
ふ、ふぇーん(泣)
24時間付き添い入院。4人部屋。夜中に子供が泣き出したら同じ病室の人に迷惑がかからないように廊下に連れ出してあやさないといけません。
おしゃぶり洗いたい・・・
ミルク作りたい・・・
寝たい・・・・・
入院翌日(日記)
今日はオレが付き添い入院するよ!
ありがとう(涙)
こうして私はウィークリーマンションに帰りました。おかげでたっぷり睡眠をとることができました。
ひとりっきりの付き添い入院だったら、こっちの身が持ちません。でも、他のお母さん達はほとんどひとりっきりでの付き添いです。本当に大変だなぁと思います。休職を取らせてくれたパパさんの会社に感謝!パパさんに感謝!!です。
入院から1週間経過。手術まであと1週間
入院生活は初日が1番忙しいですね。ほとんど寝れないまま次の日を迎えたら、次の日は検査の連続。怒涛の2日間でした。
そして1週間経った今は、毎日ほとんど何もなく暇な毎日です。
東京から福岡の病院へ遠方入院だった事と、事前に息子を診察してもらっていなかったということで術前2週間の余裕をもっての入院でした。(普通はこんなに長い術前入院は必要ないようです。)
今のところカテーテル検査は考えていないというお話なので手術の日まではのーんびり過ごすことになりそうです。
病室の窓からはヤフードームと海が見えて、息子のベッドで添い寝をすると青い空が広がっていて、なかなか快適なお部屋です。
息子は毎日ママとパパが近くにいるから嬉しいのか、おおはしゃぎの毎日。
隣のベッドの子が大泣きしてもおかまいなしで、マイペースに遊んだり、お友達と触れ合って喜んでいます。
手術に成功して1日も早く退院したいと思っているけれど、術前のこののんびりした時間も貴重な時間かなぁと思ったりします。
家に帰ると、家事に追われてなかなか息子の相手をしてあげられなかったり、パパは遅くに帰ってきて寝顔しか見れなかったりするだろうから。
こうやって家族3人、時間を気にせずのんびり過ごす毎日はある意味幸せかも。
手術の日まで、息子の体調管理に気をつけながらゆったりした日々を過ごそうと思います。
折り鶴に願いを込めて
先日東京のNICUで担当してくれていた看護師さんが面会に来てくれました。たまたまご実家が福岡こども病院の近くで、たまたま帰省している時期と重なったので面会に来てくれたんです。
休暇前に先生達にも「会ってくるね」って言ってきたんですよ。
先生達が「頑張ってくるようにしっかり応援してこい!」って言ってましたよ!
それから数日後に折鶴が届きました。彼女が1人で作ってくれた折鶴で70羽の可愛いサイズです。ベッドサイドが華やかになりました。
自宅には最初の手術の時にパパさんと私と私の母と3人で折った100羽鶴。
そして今回の手術のためにパパさんのお母さんが贈ってくれた1000羽鶴があります。
でもさすがに福岡までそれを持ってくるわけにもいかず置いてきてしまっていたので
今日の贈り物はとっても嬉しかったです。
息子に見せると興味津々で口へ運びぐっちゃぐちゃにしそうな勢いでした。手の届かないところに吊るすと、不満げにウーウーとうなっていました。
手術前だというのに、本当に元気いっぱいに転がっています。この元気があれば、絶対に手術も乗り越えてくれると思います。
色々な人が息子の手術の成功を祈っていてくれることを本当にありがたいなーと思います。
[2007年10月21日]この頃の息子の状態
- 体の大きさ:身長66㎝ 体重6㎏
- できる動き:寝返り。支えられてのお座り。うつ伏せから上体を起こす。
- ミルク:最低1日600㏄(可能であれば1日700㏄)1回量100㏄のうち口から飲める量は30㏄程度。
- サチュレーション:65~70%
心臓根治手術終了。神の手は暖かかったです。
テレビで『世界の名医』として紹介されていたいたのを見て、何のコネもないのに思わず電話してしまった私。それに快く応じてくれた福岡市立こども病院の角秀秋先生。
私達がセカンドオピニオンを受けた中でも「ラステリ手術での根治手術ができます。」と言ってくれたのはこの先生だけでした。
迷わず、この先生に手術をお願いしようと思いました。
手術当日。
午前8時半手術室へ入る。
午後6時半。思っていたよりも早い時間に先生が出てきました。
無事に成功しましたよ。難しい手術でしたが理想通りの手術ができました。
大丈夫だと思いますよ。本当によく頑張ってくれましたよ。
今まで本当に大変だったでしょうがもう大丈夫でしょう。
そう言って握手をしてくれました。
先生の暖かくて力強い手の感触はずっと忘れないと思います。
私の人生の中で一番嬉しかった日は息子が産まれた日でした。
でも同時に病気との闘いがはじまった不安な日でもありました。
あれから9ヶ月。
今日が人生で一番嬉しい日に変わりました。
まだ術後の不安はあるけれど、困難と言われていた根治手術が成功した今日は、一生忘れない大切な日になりました。先生本当にありがとう!
手術中はベビーシューズを作りながら待ちました。これを履いて退院できる日を願って。
[2007年10月23日]心臓根治手術の記録
人工血管を入れ替える手術は今後数回必要になってきます。個人差はありますが、小学校に上がる頃、思春期にさしかかった頃、成人してからという感じかもしれません。
と説明されていました。
入院翌日。生後9か月になりました
術後なので寝ていて動かない状態を想像していたけど、時々起きて大きく目を開いてくれました。
術後経過は順調とのこと。
体重は少し減って5700gになりました。ミルクは25㏄を8回だそうです。
[2007年10月24日]入院19日目、術後5日目。まだICUにいます
生後一週間目で手術してくれた東京の大学病院の先生と、福岡こども病院で手術してくれた先生は師弟の間柄だそうです。
術前も先生がこう言っていました。
学会で東京に行く予定があったので、最初の手術の状況もよく聞いてきました。万全に準備していますから大丈夫だと思いますよ!
そして術後も東京の病院に電話をして手術の成功を伝えてくれていたそうです。私はそれを東京の病院の看護師さんから聞きました。
福岡の先生からお電話をいただきました。こっちの先生方もみんなすごく喜んでましたよ!
早く帰ってきて元気な姿が見たいです~!
私達の知らないところで、先生方が連絡を取り合ってくれていたこと。東京の先生達が応援してくれていること。本当に有難く、嬉しいことだなぁと思います。
今回の手術の成功の陰にたくさんの人の協力があったことを、息子が大きくなった時にしっかりと伝えたいと思います。
そして助けてもらった命を大切に精一杯生きて欲しいと思います!
[2007年10月28日]手術から1週間経過
昨日は主治医の先生からお話がありました。
術後の経過は順調ですが、熱が出たり下がったりの繰り返しです。炎症反応があるので慎重に様子を見ています。
普通は術後、炎症反応は上がるもので、それが少しずつ下がっていくんだそうです。
息子の場合は上がったり下がったりしているそうです。
生後1週間での最初の心臓手術の後にMRSA感染症にかかりました。その菌が体内に潜んでいるという可能性もあります。
それも考慮して、術後すぐに予防的に抗生剤も投与して慎重に診てくれているのですが炎症反応がある状態というのはちょっと心配です。
前回も手術後1ヶ月経過して頃、退院間近という頃に感染してしまいました。そこから3ヶ月もの長い闘いだったので、感染症の怖さは痛いほど知っています。またそんな事にならないように、とにかく祈るしかありません。
でも感染症にかかった経緯があることで、先生方もとても慎重に診てくれていて、ICUでしっかり見てもらえているので、その点では安心しています。
早くICUから出れるといいなぁ・・・。
いやいや、しっかり回復するまで見て欲しい!
ふたつの気持ちが入り混じっています。
[2007年10月30日]手術から8日目。緑膿菌が検出される
術後の回復は順調だったものの、炎症を示す数値がなかなか下がらないようです。検査をしたところ緑膿菌が微量だけ検出されたそうです。
前回MRSA感染症ではさんざん苦労したので感染症だけは勘弁して!!という感じです。
でも今のところ感染症になるというところまではいっておらず、炎症の数値も少しずつ下がってきているとのこと。ひとまず安心です。
でも、左肺の働きが少し弱くて苦しくなる事があるので今日はまた人口呼吸器をつけたそうです。
ICUのベッド数は6床と少なくて、毎日入れ替わっているような状態です。
そんな中、うちの息子はすでに8日目。最初は真ん中だったベッドがどんどん横にズレていって、ついに今日は1番壁際まで来てしまいました。気づけばICUで1番の長寿者になってしまったようです。面会中は眠り薬でほとんど目を開けない息子です。
手術から9日目。気管の状態をファイバースコープで検査
昨日人工呼吸器をつけたので、ほとんど眠った状態なのかと思っていたけれど、息子は案外元気な様子でした。
点滴のついた手足をブンブン振り回していました。
耳鼻科の先生が気管の状態を検査
左肺へ続く気管の部分が約1cmにわたって狭くなっている部分があり、それによって左肺への呼吸の流れがうまく保てないようです。
術後でむくんでいることもあって、より狭くなってしまっている可能性があるとのこと。
今はまだ炎症反応もあるので、しばらくは人工呼吸器で圧をかけて、気管が広がるのを待つということでした。それでも治らなかった場合には、もう一度胸を開けて気管の部分を引っ張って広げる手術をするそうです。
心臓手術を執刀してくれた先生も主治医の先生も来てくれました。
時間がかかるかもしれないけれど、しっかり治していきましょう!
大きな手術だったので、時間がかかるのは覚悟していました。
ICUでじっくり診てもらえるほうが安心なので、今はとにかく見守るしかありません。
なかなか回復しない息子を思って、住吉神社で絵馬に願いを・・・
・住所:福岡県福岡市博多区住吉3-1-51
・電話:092-291-2670
・アクセス:地下鉄博多駅より徒歩約10分
面会後に暇な私達は博多の住吉神社に行って来ました。
「日本三大住吉」と言われているそうで、なんだかご利益がありそうです。
絵馬に「息子が1日も早く治りますように・・・」と願いを書いてきました。
今日からもう11月です。
11月末までには退院したいなぁと思っていたけど無理かなぁ。
なんとか年内には退院できるといいんだけど。。。
でも、長い人生のうちの1ヶ月、2ヶ月はたいしたことありません。きっとあとで笑い話になるはず!
命をかけた大きな手術をしたんだから、ゆっくりじっくり治ってくれればいいなーと思います!
まとめ
心臓根治手術の記録(入院初日~手術~術後9日目)までをまとめました。
遠方への入院は大変ですが『治してもらうためならどこへでも行く!』というのは珍しい事ではないと思います。
名医をたよって手術が成功して安心!と思ったのも束の間、感染症や気管の狭窄でなかなかICUから出る事ができません。
「手術は終わってからのほうが大変・・・」とあらためて実感しました。
我が家の経験談は2007年のものですが、少しでも参考になれば嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました