病気や障害のある子どもが集団生活に入る時に、幼稚園や保育園・学校でどこまで話すのか悩むものです。
- 周囲にはできるだけ知っておいてもらいたい
- 周囲にはなるべく知られたくない
どちらの考えもあるのではないでしょうか。
ご訪問ありがとうございます。たらこっこ@nikonikotarakoです。
先天性心疾患と声帯麻痺のある息子が中学生になるまで病気や障害のことを周囲にどこまで話してきたのか実体験をご紹介します
目次
病気や障害のことを幼稚園でどこまで話したのか
息子が3歳になるまで私の周りには病気や障害のあるお友達しかいませんでした。
1歳過ぎで公園デビューを考えた事もありました。
妊娠中に知り合った友達や学生時代の友達の子どもと一緒に遊んだ事もありました。
でも健常な子と息子の発達の差に愕然としました。
覚悟はしていたもののショックな出来事でした。
その時の様子はこちらに詳しく書いています。
息子の成長に合った場所を探して、療育センターや心臓病児の通所施設に通いました。
とても居心地の良い生活だったのに3歳で突然の転勤が決まり、幼稚園に入園する事になりました。
この時の息子は
- まだお話ができない
- 声帯麻痺で声がガラガラ
- 胸と両脇に手術の痕
- オムツも外れていない
こんな状態でした。
小規模で人数が少ない幼稚園だったので周囲のママ達みんなに病気の事を知ってもらいたいと思いました。
そこで入園して最初の保護者会で息子の病気の話をしました。
どんな事を話したのかはこちらに詳しく書いています。
幼稚園の子ども達は心臓病と言われてもよくわからないものです。
でも何か病気があるんだという事は理解してくれます。
お迎えに行った時に、同じクラスのお友達にこんな風に言われた事があります。
まだ上手におしゃべりできないんだよね?
でもボクがお話した事は全部わかってくれてるんだよ!
幼稚園くらいの子どもは「なんで?なんで?」と聞きたがるものです。
入園前に心臓病の先輩ママからこんな事を聞いていました。
- 胸の傷を「コレなに?」と聞かれて娘がショックを受けた
- まだ言葉が出ない事を「なんで?」と聞かれて説明に困った
最初に説明しておけば、こういった事を少しは避けられるのではないかと思いました。
その結果、クラスのママ達にも子ども達にも病気があるからまだ出来ない事があると理解してもらう事ができたと思います。
子ども達は「なんで?」が解消されれば、この子はこういう子なんだとすんなり受け入れてくれるものだと感じました。
病気や障害のことを小学校でどこまで話したのか
小学校に入学する頃には息子自身も少し自分の心臓病の事を理解できるようになってきました。
息子の意思を尊重する事も大切だと感じたので、病気の話をクラスのお友達に話すかどうか聞きました。
息子は「みんなに話してほしい」と言ったので話をする事にしました。
小規模の小学校だったので、全校児童の前で私が病気の話をすることになりました。
実際の説明で使ったイラストやその時の様子はこちらにまとめています。
障害があるからいじめられない?
ある時クラスのママから少しショックな話を聞きました。
クラスの男の子の中で2人だけが上級生に叩かれたというのです。
全校児童が80名程度の小規模校で息子のクラスは男の子が6人でした。
その上級生はやんちゃなボス的存在の子で「1年生が入ってきたから上級生としての強さを見せてやる!」という感じでわざと叩きに来たようです。
- 6人のうちその上級生と保育園から一緒だった3人は叩かれなかった
- 新参者の3人のうち、障害のある息子だけが叩かれなかった
私が全校児童の前で病気の話をした事で、その上級生は息子を叩かなかったのかもしれません。
でも「息子には病気があるんだよ。だからみんなやさしくしてね」と説明した事が正しい事だったのかどうかとても複雑な気持ちになりました。
その時に養護の先生からこんな話をされました。
今までいろんなお子さんを見てきましたが、子どもって案外残酷なものですよ。
いくらお母さんが病気の話をしても、いじめられる時はいじめられます。
息子くんが叩かれなかったのは、息子くんの愛されキャラがそうさせたんじゃないかなと思いますよ。
今回はちょっと上級生のほうに問題がありましたね
この頃の息子はとても小さくて上級生の女の子に「かわいい」と言ってもらっていました。
常に女の子と一緒にいるようなタイプだったので上級生も叩けなかったのかもしれません
親がわざわざ病気や障害の事を説明するというのも、小規模校だから出来たことだと思います。
学校の環境や本人の意思でどの程度まで周囲に説明するのかは変わってくるかもしれませんね。
小学校6年生で息子が思っていた事
小学校6年生の時に主張大会で「心臓病を知ってほしい」という内容の発表しました。
主張大会は6年生全員の夏休みの宿題で、どんな内容にするのかは自由です。
さまざまなテーマが考えられますが、息子は自分で心臓病をテーマにすると決めました。
息子が主張したヘルプマークや内部障害についての全文はこちらに載せています。
病気や障害のことを中学校でどこまで話したのか
小規模校の小学校で6年間過ごした息子は、同じようにクラス替えの無い中学校がいいと望みました。
校区の公立校はマンモス学校だったので、中学受験をして中高一貫でクラス替えの無い私立中学校に入学しました。
入学してすぐに自己紹介で病気の話をするつもりだった息子ですが、自己紹介が無いまま時が流れました。
そして中学2年生の手術入院前にクラスのみんなに病気の説明をすることができました。
中学生はいちいち話さない?
息子のクラスに頻繁に欠席する子がいます。
以前懇談会でその子のお母さんと少し話した時に「うちの子は病気があるから」と言っていたので体が弱いのかもしれません。
その後息子とこんな話をした事があります。
また〇君が欠席だった
〇君って病気があるんだよね?
どんな病気か聞いてないの?
知らん!
そんな話いちいちしない
そうなんだぁ…
でもアンタは心臓病の話をみんなにしたじゃない
それは長期欠席するからでしょ!
ボクは話したいから話しただけなの。
友達同士でいちいち何で休んだかとか聞かないんだよ
中学生になるといろいろあるんですね。
息子の場合は
- 中高一貫で同じメンバーという環境だった事
- 手術入院で長期欠席が決まった事
という状況だったので、周囲に病気の話をする事ができました。
でも、毎年クラス替えがあるような学校では、いちいち病気の説明をするのかどうか難しい問題ですよね。
ただ中学生になると小学校と違う事も出てきます。
- 運動面でハードになる
- 校外活動などもハードになる
小学校では運動制限が無くても、中学校では一定の運動制限が出る場合もあります。
その時に周りの友達に「また休み?」「元気そうなのに見学?」などと言われて嫌だったという話も耳にします。
中学生は病気の事を自分で理解して説明できるようになる年齢なので、親がどこまで介入するのか悩むところですね。
話せば楽になる?
病気や障害の事を周囲にどこまで話すのか…
最初は親の考え方次第ですよね。
私はなるべく周囲の人に知ってもらいたいという考えです。
そう考えるのは私自身の中学校時代の体験が関係しているのかもしれません。
病気とは関係ありませんが、私の両親は私が中学校に入った頃に離婚して母子家庭になりました。
あまりにも唐突で受け止められなかった私は、周囲の友達にお父さんの話を聞かれるのが怖くてたまりませんでした。
友達同士の何気ない会話で「〇ちゃんのお父さんはどんな感じ?」などと聞かれるとビクビクして、必死で取り繕っていました。
そんな中、友達同士何人かで家族の話題をしていた時に「うちはお母さんいないから!」とサラッと言った子がいました。
私はお父さんがいない事をこんなにビクビクして隠そうとしていたのに、この子はお母さんがいない事をこんなにサラッと言えるなんて凄い!と思いました。
それから少しずつ、仲の良い友達に「実は離婚してるんだ」と話せるようになりました。
話してしまえば、今まで悩んでいた事が嘘のように楽になって何も隠し事をしなくて良い事にホッとしました。
そんな中学生時代の体験から、周囲に知っておいてもらうほうが楽だと感じるようになりました。
病気の事や障害の事は必ずしも周囲に話さなければならない事ではありません。
でも、病気がある事で体育を欠席する・薬を飲むなど学校生活で他の子と違う部分が出てくる場合があります。
その時にその都度説明をしなければならなかったり、何か後ろめたい気持ちになるなら、最初からきちんと説明したほうが気持ちが楽だと思います。
全国心臓病の子どもを守る会が発行する出版物の中に病院や保健所で手に入るハンドブックがあります。
無料でページ数の少ないハンドブックですが医師からのアドバイスや病児の体験談などが書かれていて参考になりますよ。
病院等で手に入らない場合には、送料のみの負担で郵送してもらう事ができます
終わりに
病気や障害のことを幼稚園や学校でどこまで話すのかについてまとめてきました。
息子はあと数年で親の手を離れる年齢になります。
大学生や社会人になって自分の病気の事をどう受け止め、どう周囲に話すのかは息子次第です。
13歳で心臓の修復手術もしましたが、今のところ自分の病気を悲観したり嫌がったりする事はありません。
赤ちゃんの頃に想像していた未来よりも、はるかに育てやすくまっすぐに育ってくれたと思います(←親バカです)
これから先の未来のほうがいろいろな感情になるかもしれませんが、そんな時は息子の不安や悩みにそっと寄り添える親でありたいと思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました