生まれつきの病気があって学校生活を送る場合に周囲の友達に病気の事を説明するかどうかという問題があります。
我が家の場合は周囲の人にできるだけ病気の事を知ってもらいたいと思っていたので、幼稚園も小学校も病気の説明をしました。
中学生になって病気の説明はどうするのか?
我が家の場合の体験談をまとめています。
大切なのは本人の気持ち
中学生ともなれば、本人の気持ちが大切になってきます。
中学校入学の時に、息子と話し合いをしました。

病気の説明はどうしたいと思ってる?

みんなに知ってもらいたいから自己紹介で病気の事を話す!
小学校でクラス替えの無い小規模特認校に通っていた息子。
中学校も高校もクラス替えが無い学校がいいと強く希望していました。
そこで中高一貫のクラス替えの無い学校を受験して希望の学校に入学しました。
クラスの人数は20名に満たない少人数で高校卒業までクラス替え無しです。
だからこそ、余計にクラスのみんなには最初に病気の事を知っておいてもらいたいと考えていました。
自己紹介が無いままスタート
中学校に入学して、自己紹介の練習をしていました。

ぼくは生まれつきの心臓病で声が小さいので、聞こえにくい時には遠慮なく聞き返してください。
声は小さいですが、口笛は得意です♪
さんざん練習していたのに、自己紹介が無いまま入学から1週間経ち…1か月経ち…
結局自己紹介はありませんでした。
宿泊合宿やプール授業は?
入学から1か月目に1年生同士の親睦を深めるための宿泊合宿がありました。
お風呂は一緒に入ります。
プール授業もはじまりました。
温水プールなのでラッシュガードは着用せずに上半身裸です。
息子は胸の傷跡を気にする素振りはありませんが聞いてみました。

手術の傷痕の事を聞かれたりする?
病気の事を知ってる友達は何人くらいいるの?

「その傷どうしたの?」って聞かれたら「胸の手術をした」って答えてるけど、何人くらいが知ってるかはわからない。
こうして、なんとなく1年生が終わっていきました。
手術で長期欠席が決定
2年生になって13年ぶりの心臓手術が決まりました。
新型コロナウイルスの影響で学校の夏休みは10日ほど。
入院は1か月ほどかかるので、学校は長期欠席になります。
担任の先生に入院の報告をした時にこう言われました。

クラスのみんなへの説明はどうしますか?
ちょっと長い欠席になるので、みんなも気になるかなと思うんですが。

本人と相談してみます。
入学した時には、病気の事をみんなに説明したいと言っていたので、その気持ちが変わっていなければ、本人からクラスのみんなに説明させても良いのかなと思います。
中学1年生と2年生では気持ちの変化があるかもしれないので、息子に聞いてみました。

入院の説明を自分でするつもりがあるなら、先生が時間を作ってくれるみたいだけどどうする?

えー。自分で説明するの?嫌だなぁ…。

嫌なの?嫌なら説明しなくてもいいけど1か月も欠席したらみんな気になるんじゃない?どっちでもいいけどよく考えてみてね。
中学生になると自分の世界があると思います。
特別な自己紹介が無くても、友達の性格や特徴を知り学校生活を送っています。
だから、今さら病気の説明をする必要も無いのかもしれません。
手術についても、息子が周りの友達に知ってもらいたいと思えば説明すればいいし、知られたくないと思うのなら説明しなくても良いと思いました。
息子の決断は?
結局自分で説明することに決めた息子。
期末考査が終わってからどこかで時間を取ると言われたようで、家でもどう説明するのか気にしていました。

病名は総動脈幹症だっけ?大動脈と肺動脈が1本だったっけ?説明難しいなぁ。

別に心臓の講義をするわけじゃないんだから、そんな難しい説明はしなくてもいいんじゃない?

生まれつきの心臓病で、赤ちゃんの時の手術で人工血管を入れました。それを取り換える手術をします。

そんな感じでいいと思うよ。
説明を終えても母への報告は無しなんです
息子は小さい頃から学校であった出来事を話してくれないタイプです。
手術の説明の事も、先生からのお手紙で知った私。

『先日は自分の口でクラスのみんなにしっかりと話をしてくれました。また元気な顔で戻って来る事をみんなで待っています。』

ねぇねぇ、もう説明終わったの?聞いてないよ。いつやったの?

いつだったっけなぁ。もう忘れた。

どんな説明したの?教えてよー。

えー?もう忘れたよ。でも病名はちゃんと言っておいた。

病名を聞かされてもみんなはよくわからないと思うけどねぇ。
で、説明してどうだったの?

ん?良かったんじゃない。
『みんなの前で説明するのは恥ずかしい』と言いながら、きっとそれなりにきちんと説明できたんだと思います。
息子は息子なりに成長しているのに、私の心はちっとも成長していません。

“できることなら、息子が説明している姿をビデオで撮りたかった”
などと、いまだに親バカな事を考えてしまいます。
こうして中学校に入学して1年以上が経過してから『長期欠席の報告』という形でクラスのみんなに病気の説明をする事ができました。
まとめ
病気の説明を周囲にするのかどうかは難しい問題だと思います。
小学校までは周囲に知らせるのも知らせないのも親の考え方次第というところがあるかもしれません。
中学生になると本人の考えも尊重しなければならないと思います。
これからもっと大人になって、周囲の人間とどう関わっていくのか、すべて本人が決めることです。
親はそれを見守ってやることしかできませんね。
これから考え方が変わっていく事もあるかもしれません。
でも、とりあえず中学2年生という時期に自分で自分の病気を理解して、自分の口で周りのみんなに説明したという経験はとても良かったのではないかと思います。