「在宅酸素」って聞いたことはありますか?
テレビでは病気になった大御所の俳優さんが車椅子に乗って、鼻にチューブをつけて登場する姿を見かけることがありますよね。
あの鼻につけているチューブが酸素チューブです。
心臓病の息子さんも、酸素のお世話になっていました。
この記事では在宅酸素についてまとめています。
在宅酸素療法について
在宅酸素療法って何?
私達が普通に吸っている空気よりも、高い濃度の酸素を直接鼻のチューブから送り込みます。
これを自宅で行うことを「在宅酸素療法」といいます。
どうして酸素吸入が必要なの?
心臓や呼吸器系の病気にかかると血液中の酸素が不足してしまう場合があります。
そうなると日常生活を送るのが困難になります。息切れでうまく呼吸ができなくなります。
また酸素不足が続くと心臓に負担がかかって弱ってしまいます。
酸素吸入をすることによって、体の機能が低下しないようにしたり、改善する事ができます。
在宅酸素療法をはじめる手順
①医師による診断:在宅酸素療法の適応があるかどうか診断が必要です。
②酸素療法の処方:医師が酸素の流量や流す時間などを決めます。
③酸素配給機器の設置:酸素機器を選定して、専門の業者が自宅に設置します。酸素機器はレンタルです。
在宅酸素療法にはどのくらい費用がかかる?
在宅酸素療法は医師が処方するものです。色々な基準がありますが保険適用になる場合もあります。勝手に契約できるものではないので、必ずかかりつけの医師に相談が必要です。
心臓病の息子さんの在宅酸素の記録
生後4ヶ月~生後8ヶ月
NICUを退院して、根治手術までの間は一時退院していました。
病院では当たり前のように酸素をつけていましたが、自宅でも必要です。
そこで在宅酸素デビューとなりました。
酸素は2リットル流してサチュレーションは50台。
外出は外来のみ。1日がかりなので予備のボンベも必要でした。
根治手術後(生後10ヶ月~1歳)
生後10ヵ月で心臓根治手術をしました。
そこから1歳過ぎまで入院生活。
病院に入院中の酸素は流量を少しずつ減らして0.5リットル。
退院前に酸素卒業の予定でしたが、右肺動脈の狭窄と気管支狭窄があったため、酸素を外すとサチュレーションが80台。
酸素を外しての退院とはいきませんでした。
退院後(1歳1ヶ月~)
流量は0.5リットル。
呼吸を吸った時だけ酸素が流れる機械をつけてもらったので、ボンベのサイズも一番小さくなりました。
1日がかりの外出でも予備のボンベは必要無くなりました。
どこへ行くにも酸素を持って、ベビーカーの下に酸素を積んでお出かけしました。
歩きはじめた頃(1歳10ヶ月~)
歩けるようになって、チューブの存在を邪魔に感じるようになってきた様子。
家の中で頻繁に酸素を外すようになりました。
だんだんと外す頻度が多くなり、食事中・就寝中・ベビーカーに乗っている時以外はおとなしくつけてくれなくなりました。
酸素を外してもサチュレーションは95~98位だったので、日中は外す事が多くなりました。
酸素卒業(2歳2か月)
怪我をして顔に大きな青アザができました。(酸素チューブに引っかかったというわけではなく、机に顔を強打しました。)
そんな時に検診がありました。

怪我しちゃいましたか。
この子の場合の酸素は必要不可欠という訳ではないからねぇ。
抹消の血管を広げてあげるため、この子が少しでも楽でいられるためにという理由でやっていたんだよね。
でも、こんなケガをするようじゃこの子にとってストレスだよね。
歩くようになるとこんなチューブをつけて動くのなんて嫌だろうし、もう外してもいいんじゃないかな。
というわけで、一応在宅酸素卒業となりました。
その後
福岡検診後しばらくは就寝時には酸素をつけていました。
そのうちに、つけていない時間が多くなったので完全に酸素が嫌になったようです。
寝ていても外してしまうようになりました。そして今はまったく酸素をしていません。
一応、まだなにかあるといけないということで、酸素の機械は残したままです。
[2009年6月23日]
『サチュレーション』というのは酸素飽和度を意味する医療用語です。
酸素飽和度はSpO₂(エスピーオーツー)と呼ばれます。
この酸素飽和度(SpO₂)はパルスオキシメーターではかることができます。
健康なら99%(一般的には96~99%)の値になります。
心臓病などで酸素を取り込む力が低下すると、この値が小さくなります。
よく標高の高い山に登ると「酸素濃度が低い」と言いますよね。健康な人でも急に標高の高いところに行ってSpO₂が下がる事があります。
SpO₂が80%を下回ってくると、かなり危ない状態だそうです。
まとめ
心臓病児にとってサチュレーション(酸素飽和度)はとても気になるものです。身長や体重をはかるのと同じように、毎回サチュレーションをはかります。
息子の手術前のサチュレーションは50%でした。爪も唇も紫色でした。
でも、根治手術を終えた時、人工呼吸器につながれているのに爪も唇もピンク色になっていました。
それほど、酸素が人の体に与える影響は大きなものなんだなと改めて実感しました。
『在宅酸素』なんて息子が心臓病で産まれなければまったく知らないことでした。
⇓ コメントはお気軽に ⇓