重症心疾患『総動脈幹症』の息子の13年ぶりの手術が終わりました。
『総動脈幹症』はとても稀な疾患です。
息子の場合はその中でも特に稀なA4型(大動脈弓離断症を合併している)という疾患です。
同じような疾患を持つ方は少ないかもしれませんが、手術の内容について簡単にまとめています。
目次
13年ぶりの心内修復手術の内容
ラステリ手術後の人工血管交換について
生後8か月体重6㎏のラステリ手術で16㎜の弁付き人工血管を入れました。
13歳で体重30㎏になり人工血管の交換が必要でした。
手術でどうなった?
手術説明では18㎜もしくは20㎜の人工血管を入れる予定と言われました。
結果的には22㎜の人工血管を入れる事ができました。
前回の手術で入れた人工血管がとても綺麗についている状態で、正直なところ交換しなくても良いのではないかと思えるほどでした。でも体重が増えれば交換は必要ですからね。今回は予定よりも太い22㎜が入ったので大人までもつサイズだと思います。体がすごく大きくなればもう1回交換が必要かもしれませんが基本的には大人でも十分大丈夫なサイズです。
右肺動脈狭窄について
右肺動脈の狭窄は生後8か月の根治手術後にも残ってしまっていた箇所です。
何度かバルーンカテーテルをためして、狭窄部分を広げようとしましたが無理でした。
将来的にはこの狭窄部分が問題になるだろうと言われていた箇所です。
手術でどうなった?
人工血管を一部分だけ使用して狭窄部分を拡大しました。
血管の配置を入れ替える(Lecompte法)
肺動脈が大動脈を巻き込んで裏側に回り込んでいるような血管の配置になっていました。
総動脈幹症の特徴でもあるのですが、このまま放っておくと将来的にもっとねじれてくる可能性があります。
できればこの配置を戻したいけれど、それがやりやすいのは赤ちゃんからせいぜい2歳頃まで。
大きくなると難しくなるそうです。
無理になおそうとすると余計にねじれる場合もあるので、やれるようならやると言われていました。
手術でどうなった?
思いのほかスルっと血管がはがれたので配置を入れ替える事ができました。
『Lecompte法』という方法でなおすことができました。
肺動脈を大動脈の前方に転位させる手術方法
息子の場合、右肺動脈の狭窄に加えて気管支狭窄もありました。
この気管支狭窄に対しては赤ちゃんの頃に広げる手術をしています。
大動脈基部の瘤状変形について(バルサルバ洞瘤状変形)
大動脈の基部がコブのように大きく膨らんだ状態でした。
13年ぶりの手術が決まった理由は、人工血管の入れ替えよりもこのコブをなんとかしなければならないというものでした。
- 放置しておけば破裂もありえる
- コブの部分に血液が滞留するので血栓ができやすい
そんな厄介なコブでした。
どのような瘤の形状なのかは手術で開けてみないとわからない為、もしかしたら基部置換(人工弁)になる可能性もあると言われていました。
手術でどうなった?
思っていたよりも瘤の壁の部分が固くてしっかりしていたので瘤ごと切除する事ができました。
一部分だけ人工血管を使用して修復しました。
バルサルバ洞は心臓につながる大動脈の付け根の部分(大動脈基部)にある大動脈弁の上の膨らんでいる部分です。この部分が大きく拡張してしまった状態をバルサルバ洞動脈瘤といいます。
手術全体を通してどうだったのか?
心臓手術は3回目なので癒着はありました。
また、修復箇所が多かったので、出血を止めるのに時間がかかりました。
これらに時間がかかって手術時間は長くなりました。
しかし手術内容そのものは問題なく進められたということでした。
手術から一夜明けた息子の様子は?
手術室に入っていた時間は14時間でした。
手術後12時間経過したお昼頃に電話で様子を伝えてもらいました。
人工呼吸器は?
意識が戻って人工呼吸器を嫌がる(苦しがる)様子だったので抜管しました。
抜管しても状態が安定していたようです。
赤ちゃんの頃の手術では抜管できるまでにかなりの時間がかかったので、こんなにすんなりと外せるとは思っていませんでした。
水分や食事は?
人工呼吸器を外して、朝から果物を口にしたようです。
夜からは少しずつ食事も開始。
今日の水分は300ml程度ですが明日から増やしていくようです。
『お茶と捕食になるゼリーやヨーグルトを持ってきてください』
と言われて持って行きました。
手術から数日は口から食べる事なんてできないだろうと想像していました。翌日から食べられるようになるなんて驚きました。
息子の様子は?
意識が戻った時の様子はどうでしたか?
びっくりするくらいに落ち着いていました。泣いたり痛がったりする事もなく、なんだか本当に冷静でしたよ。こちらが驚いてしまいます。
今はDVDを見てますよ。お母さんに何か伝える?と聞いたら『頑張ってるよ!』と言っていました。
体を拭く時は自分から体勢を変えてくれたりして協力的なんですよ。なんだか本当に落ち着いていますよ。
中学生なので、さすがに泣きわめくような事はないだろうと思っていました。
でも、大きな手術の後でそんなに冷静にいられるなんて。
我が子ながら『すごいやつだな!』と思います。
私の頭の中は赤ちゃんの頃の術後の様子が抜けきれていませんでした。
13歳ってこんなに成長しているものなの?
手術も大変だけど手術後もさぞかし大変だろうと覚悟していたのに、なんだか良い意味で拍子抜けしました。