MRSA感染症は病院内で感染する事が多い感染症ですがどのような治療をするのでしょうか。
生後7日目に心臓手術をした息子はNICU-新生児集中治療室入院中にMRSA感染症にかかり危篤宣告を受けました。
MRSA感染症とは何か、治療はどのようなものだったのかについてまとめています。
たらこっこ@nikonikotarakoです。
この時の治療はとても困難を極めて、さらに13年後にもこの時の治療の影響が発覚しました…
目次
MRSA感染症とは
MRSA感染症の原因となる菌はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌です。
ヒトや動物の皮膚・鼻腔などの付着している常在菌です。鼻腔内には10~40%で定着しているといわれています。普段は害がない菌です
健康な人には害がない菌ですが入院中に感染すると死に至る危険もあるんです
MRSA感染症になるのはこんな人です。
- 大きな手術直後の患者さん
- 血管内にカテーテルが挿入されている患者さん
- 長期間、抗生剤などを使用している患者さん
- 抗がん剤を使用している患者さん
- 免疫不全の患者さん
- 未熟児で産まれた赤ちゃん
MRSA感染症は接触感染で広がります。
息子のMRSA感染は突然の危篤宣告からはじまりました。
その時の様子はこちらにまとめています。
MRSA感染症の治療
MRSAが皮膚などから見つかったとしても、症状がなく体内に存在しているだけの場合には積極的な治療はしません。
医師が除菌の必要性を感じた場合には認可されている治療薬で治療します。
日本で認可されているMRSA感染症に使用できる治療薬
- グリコペプチド系薬
⇒ バンコマイシン、テイコプラニン - アミノ配糖体系薬
⇒ アルベカシン - オキサゾリジノン系薬
⇒ リネゾリド - 環状リポペプチド系薬
⇒ ダプトマイシン
MRSA感染症の治療体験談:抗菌薬の投与
息子の場合は心臓手術後の傷口からMRSAが見つかりました。
治療は点滴から抗菌薬を投与して血液検査で菌が減っているかどうか確認するというもの。
しかし1種類の抗菌薬では効果が出ず、何度か抗菌薬の種類を変えて様子をみる治療が続きました。
MRSA感染症の治療体験談:傷口の洗浄
抗菌薬の投与だけでは効果がなく、傷口の洗浄を行うことになりました。
術式:全身麻酔で胸骨を再切開して汚れた組織を洗ったり削ったりする
手術後は傷口を開いたままでパッキングした状態でした。そして毎日傷口を洗浄する処置を続けて5日後に傷口を閉じる手術を行いました。
このときの様子はこちらにまとめています。
MRSA感染症の治療は困難を極める
心臓手術後の回復は順調で1ヶ月ほどで一時退院の予定でしたがMRSA感染症の治療に3ヶ月かかりました。
抗菌薬を投与しても、効果が出ているのかどうか見極めるまでに時間がかかります。投与して採血して結果を見て…この繰り返しです。
息子の感染症の治療には先生方もかなり苦労している様子でした。
最終的に血液検査で2回陰性が出た時には、息子の治療をしてくれていたチームの先生方がかわるがわるやってきて、少し興奮した様子で「ようやく陰性になりましたね!」「もう、私の中では号外が出るくらい嬉しかったですよ!」「長い治療でしたね」と言ってくれました。
先生達が興奮するくらい治療が大変だったんだなと改めて感じました。
MRSA感染症治療の影響
この時から13年後に心臓の修復手術をしました。
その術前検査で発覚したのが胸骨の一部分が無いということでした。
MRSA感染症の治療で洗浄を繰り返していたことによって胸骨が削られてしまったんですね。
それが発覚した時の様子はこちらにまとめています。
あらためてこの感染症の治療がいかに大変だったかを思い知らされました。
終わりに
MRSA感染症について、NICUでの治療と13年後に発覚したことをまとめてきました。
これを書いている今はNICUの入院期間を終えて一時退院した日から14年目です。
あらためて、あの時治療をしてくれていた医療従事者の方々に感謝の気持ちでいっぱいです。
そしてMRSA感染症について調べると出てくる「死に至ることもある」という文字を見て、本当によく乗り越えてくれたなと思います。
実はこの後の根治手術後にも別の感染症に苦しめられることになるのですが、その感染症についてはまた別の機会にお話しようと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました