谷川俊太郎さんの『生きる』という詩を知っていますか?
教科書に採用されたり、合唱曲になったりしているので、知っている方も多いのではないでしょうか。
新型コロナウイルスに翻弄されている今だからこそ、あらためて読みたい詩です。
谷川俊太郎さんの『生きる』を紹介します。
谷川俊太郎『生きる』全文
生きているということ
いま生きているということ
それはのどがかわくということ
木もれ陽がまぶしいということ
ふっと或るメロディを思い出すということ
くしゃみすること
あなたと手をつなぐこと
生きているということ
いま生きているということ
それはミニスカート
それはプラネタリウム
それはヨハン・シュトラウス
それはピカソ
それはアルプス
すべての美しいものに出会うということ
そして
かくされた悪を注意深くこばむこと
生きているということ
いま生きているということ
泣けるということ
笑えるということ
怒れるということ
自由ということ
生きているということ
いま生きているということ
いま遠くで犬が吠えるということ
いま地球が廻っているということ
いまどこかで産声があがるということ
いまどこかで兵士が傷つくということ
いまぶらんこがゆれているということ
いまいまが過ぎてゆくこと
生きているということ
いま生きているということ
鳥ははばたくということ
海はとどろくということ
かたつむりははうということ
人は愛するということ
あなたの手のぬくみ
いのちということ
絵本『生きる』
『生きる』は1971年に発表された詩です。
この詩からうまれたこの絵本は2017年に発売されました。
谷川俊太郎さんの詩と岡本よしろうさんの絵で構成されています。
絵本を読んだ人の感想
谷川俊太郎さん自身の感想
あるインタビューでこの詩について谷川俊太郎さんはこのように語っています。
自分としては、そんなによくできた詩だと思っていなかったんですよ。
でも、きっちり完成した詩よりも、どこかほころびがあるほうが、人は入っていけるんですね。
この詩には「ミニスカート」とか具体的な固有名詞がちょこちょこ出てきます。
そういうことがあるから、読んだ人は自分たちも「生きるとはどういうことか」と参加してくれたわけですね。
こんなに長い間読まれ続けている詩なのに『そんなによくできた詩だと思っていなかった』というのは驚きですね。
1931年東京生まれ。
1952年に最初の詩集『二十億光年の孤独』を発表。
現代に至るまで、詩のほか、絵本、エッセイ、翻訳、脚本、作詞など幅広く作品を発表しています。
まとめ
谷川俊太郎さんの『生きる』をご紹介しました。
谷川さんはインタビューの中で『子どもが詩や絵本に触れるきっかけを作るには、何か好きなものを見つけるのがいちばんだと思う。』と言っています。
子どもも大人も『私はこれが好き』というものをたくさん集めていきたいものですね。
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